本とゲームと、それからそれから

本やゲームの感想を書いています

光文社古典新訳文庫の面白さ

お久しぶりになっておりました。

9月と10月は何かと忙しい時期でありますが、言い訳はその辺りにしておきます。

 

さて、今回は「光文社古典新訳文庫」のおすすめをしたいと思います。

この、光文社古典新訳文庫はどんなものかと言いますと、昔に刊行された書籍を今の言葉で翻訳し直し、読みやすくする事で再び多くの人に読んでほしい名著がたくさんあるよ!みたいなやつです。

自分で書いておいて適当だと思いましたので、光文社さんから一部引用させていただきます。

「「いま、息をしている言葉で」──光文社の古典新訳文庫は、さまよえる現代人の心の奥底まで届くような言葉で、古典を現代に蘇らせることを意図して創刊されました。気取らず、自由に、心の赴くままに、気軽に手に取って楽しめる古典作品を、新訳という光のもとに読者に届けていくこと。それがこの文庫の使命だとわたしたちは考えています。」

(https://www.kotensinyaku.jp/about/  2021.10.15閲覧)

この文庫の素敵な所は、9類、すなわち文学に限らず、さまざまなジャンルの名著を現代の言葉に即して翻訳しているというところにあると思います。私のブログでは基本的に9類の本のおすすめしかしていないのですが、エンゲルスやらカントやらダーウィンやらニーチェやらプラトンやらフロイトやら、そりゃもう多岐に渡ってるわけですよ。

私が面白いなと思ったのは今昔物語集が古典新訳文庫の刊行リストに入っていた事でしょうか。古典の範囲は全世界に渡るという事ですね。流石に源氏物語を訳してはいないようです。あんな長いの訳すのは大変でしょうな、と納得しております。一大事業みたいなもんじゃないですか。

そういえばダンテの神曲もなかった。これを機に読んでみたいなと思ってましたが、未来に期待したいと思います。

あと、ドストエフスキートルストイは凄い勢いで翻訳されてます。どうせなら『カラマーゾフの兄弟』とか『アンナ・カレーニナ』とか読んでみようかな。

 

私が読んで面白いと思ったのは『ドリアン・グレイの肖像』でした。ドリアンの変貌が分かりやすいんですよね。あとは、『小さな王子』ですね。これは『星の王子さま』のことなんですが、原題の『Le Petit Prinace』を直訳するとこれになる。『星の王子さま』というか題名は『Le Petit Prince』を日本で翻訳し、それが日本のスタンダードと化した内藤濯(ないとう・あろう)氏の訳なんだそうです。で、この光文社古典新訳文庫の『小さな王子』に戻りますが、描写がさっぱりしていて読みやすいんです。小さい頃、内藤濯氏の『星の王子さま』に挫折して以来何となく避けていたんですが、最近「Sky 星を紡ぐ子どもたち」を遊び始めたのをきっかけにもう一度トライしてみたんですよね。そしたらこれが分かりやすかった。

未だに9類に留まって読んでいる私ですが、図書館にある光文社古典新訳文庫の9類を粗方読み終えたら別のジャンルにも手を出してみようと思います。

 

温故知新、古きを温ねて新しきを知る、そういうのに分かりやすさをプラスしたものだと思います。昔挫折したあれこれに再挑戦したくなった時にはおすすめかもしれません。

私流作文の書き方

小学生から高校生の皆様は夏休みの宿題終わりましたか?

私が学生の頃は大体昨日辺りから宿題に手を付けてましたね。自由研究とか時間がかかる系の宿題を100%やらされる学校の学生さんは頑張れとしか言いようがないですけど、そういうのが選択制なら自分から見て最も簡単な代物を選ぶのがいいですよ。出したものの評価とか、それが全国コンクール出品レベルに達してるもの以外は真面目にやってあって期日通り提出されるなら周りと変わらないし。

ここで重要なのは「期日通りに提出」する事です。内申書とかに響くのって出来栄えよりも「期日通りに指定した課題を仕上げて提出出来るか否か」って所だと思います。

テスト8割、意欲態度その他諸々2割ってよく聞くかと思うんですが、毎年合否判定会議に出席してる私が見てると、テストで同点、ボーダーライン上にいる二人のどちらかを合格者にするかは、テスト8割の後のその他諸々の2割で決まってるんですよね。つまり、入試の点数で競り合う人に勝つには普段の課題をちゃんと出せ、授業中寝るな、出来なくても腐るな諦めるな、その日々の積み重ねなんですよね。

今のコロナ禍のご時世なので「学校に休まず来る」は美徳ではなくなりました。むしろ「自分の体調をしっかり管理しその結果を鑑みて判断できる事」の方が美徳になってきてます。

皆勤賞も精勤賞も無くなった学校の話もよく聞きます。

進学したいなら

①体調管理の徹底と客観的判断

②提出物は期日通りに完成品を提出する

③授業中寝ない

④部活や生徒会活動頑張っとこう

これやっておくと良いです。

 

前置きが長くなりましたが

私が学生時代からずっと使い続けている作文の書き方があります。

それはTwitterの実況の如く(その時私の携帯にはTwitterなんて存在してないけど感覚的にそんな感じ)調べた事や初めて知ったことを書きまくり、そこを読んで感じたことを書き添えておく訳です。

そうするといくつかのブロックが出来上がるんですけど、それの順番を組み替えて、話の流れを整えれば完璧です。

夏の大敵読書感想文(読感文大嫌いだった系司書)もこのパターンでだいたいやれます。

 

読感文準備

【なんでこの本にしたの?】

タイトルが面白そうだったから。何度も本棚行き来して気になってた。だってさ、学者ってそれが好きだからそのジャンルの学者として食ってるんでしょ?それなのに何でそのタイトルなの?というか作者にツッコミを入れたくて仕方ない気持ちで選びました。

【作者にどんな印象を抱いた?】

どんな話にでも必ず30代〜40代にブッ刺さるオタクネタを平気でぶち込んでくるおっさん。

今日この話の事を家族に教えようとして何気なく見ていた『ダーウィンが来た!』で南硫黄島の大調査チームに鳥類学者として参加しているのを特殊してて、ま、まさにこの人だよ!!となった。でも種の保存環境保護について回る業に心を痛めているちゃんとした人だと思います。

ちなみに『はじめに』の部分で筆者は読者全員と友達になっているので、私は既に彼の友達になってしまった。

【どこが好き?】

新島の噴火で西之島が飲み込まれていき、それまで繁栄していた海鳥の繁栄地も溶岩に覆われてしまった時の話。

こうして、研究対象を天災で失ってしまった学者は少なくないとも書いてある。その茫然としてしまうような絶望感を短い文で伝えてくる。普段かなり懐かしい漫画やらアニメやらのネタを持ち込んだりしてくるのであんまり深刻な気持ちで読むもんじゃないと思っていると、そこで出てくる真剣な気持ちにならざるを得ない自然の脅威。温度差で風邪引くわ。

でもそれが癖になってきてしまった……

おっちゃん俺にもっとダジャレとか懐いネタ放り込んでくれよ!!

【学んだ事】

人間の影響で繁殖させられた生き物(外来種)が在来種を食い尽くし、在来種の保全のためにその外来種を駆除しなくてはいけない業。

標本を作るために鳥を捕まえて薬殺しなくてはいけない業。

人間のせいで増やされ、人間のせいで殺されていく外来種に対する責任的な業。

それらを背負ってもなお、好奇心は抑えられない事。

人の蒔いた種は責任をとって人が刈り取るべきであるという意識と歴史に翻弄される『外来種』の存在が悲しかったこと。

 

『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ』

川上和人著 新潮社

上記のメモはこの本を読んだ時にメモしたものの抜粋と整理を行なったものです。

適当に思った事を書いておけば、はじめに、本論、おわりに、の順になるよう並べ替えるだけで読書感想文は完成品になります。

私のやり方を見てやれそうだと思ったら試してみてください。多分Twitterのツイート8個か9個文字数フル仕様でいい頃合いになるはずです…

ググって読感文コピペとかやめましょうね。あれ、審査の時ちゃんとググられますからね。学校でバレたら成績激落ちくんなので自力で書くのです。がんばれー。

 

2021/9/6 誤字脱字訂正

『感染症の日本史』で温故知新を改めて思い知る。

残暑が厳しいざんしょ、という駄洒落で寒さを覚える頃合いになりましたね。

今、コロナウイルスが過去最大の流行を迎えており、毎日のように過去最多の文字や音声を目に耳にするようになってしまいました。

 

そんな中で私が読んだ本を紹介します。

感染症の日本史』

磯田道史 著

文藝春秋社 文春新書1279

ISBN:978-4-16-661279-6

NDC(10版):493.8(内科学)

2020年9月初版

 

ほぼ一年前に発売された本なので、現在のデータと情報に差があります。2020年9月といえば、新型コロナウイルスの流行第二波が日本を襲い始めた頃です。しかし、本書は1918年から世界的に流行した、スペイン風邪(今でいうインフルエンザの仲間だそうですね)をメインに、過去流行した様々な感染症の記録から現在のコロナ禍を見つめるという点に重点を置いているので多少タイムラグがあろうとも今の状況を考えるための方針を示してもらえる良著だと思います。

 

実際に読んでみると、天然痘コレラの流行にあたって江戸や某藩の施策は「今これが行われないから経済的に困窮する人や食事もままならないなんて人が多いのでは?」と思わされるような資料が出てきたり、日本で○万人が感染、○ヶ月で感染者が○倍になったというマクロな視点の資料だけでなく、その時を生きてきた少女の日常を綴った日記というミクロな視点の資料にも焦点を当てたりして歴史上の感染症への対策をあらゆる視点から見つめて書かれている本でした。

 

高校時代の恩師の座右の銘が『温故知新』でした。古きを温(たず)ね、新しきを知る。昔の文献などを調べることで、そこから新しい事を学ぶという意味の四字熟語です。この本を読んで、その言葉が胸の中に現実感を伴った重みとして残りました。

過去の感染症の記録を読み込む事で、今の私にも得られるものがあるのだと感じます。

 

……全く話は変わりますが、私、磯田先生大好きなんですよね。先生が司会をしている『英雄たちの選択』(NHK BSプレミアム)で、様々な時代の英雄と呼べる人を一人ピックアップして、その人の研究を行っている人達をゲストとして招き、英雄の生涯に沿って様々な事件が起きた時に彼もしくは彼女が取った選択についてトークしていくんですが、研究者達の話を聞いている磯田先生がいつもすごーく楽しそうなんです。

そういう、自分が好きな事を心の底から楽しめる大人ってとても輝いていますよね。私の磯田先生好き度は最早ファンの域に達しています。同じくファンの域に達するほど好きなのはサッカー解説者の松木安太郎さんです。松木さん、解説者というか、一緒にサッカー日本代表を応援しているサッカー大好きおじさん的な存在で親しみを持てます。

そんな勢いで好きな磯田先生の本を読みたいと思い立ち書店に赴いて買ってきた本です。

平易な表現で学生にも分かりやすい。読書感想文とか書けるんじゃないかな。…と夏休みも終わりかけの今言ってみました。

読書感想文の自由図書部門に応募しようとする学生さんはやっぱり自分の一番好きな本で書くべきですよ。課題図書を読むのも勿論いいんですけど、『課題』図書ってされるとどうしても「やらされてる感」があるじゃないですか。ああいう読ませ方をするのが読書嫌い、作文嫌いを生む遠因になってるんじゃないのかしらと常々思っております。課題図書を読んで、この本好き!ってなったらそれで十分なんですよ。その熱意を作文用紙にぶつけましょう。大丈夫、本の感想をツイートするような感覚でいけばいいんです。好きじゃないけど課題図書だし……って読むのは心によくない。よくないですよ!!

この本はこういう本で……みたいなブックトークで、学生さんたちの心に「読んでみたい」欲を生み出せるように精進したいです。

でも、探せばきっとあるんじゃないかな、課題図書のブックトーク動画みたいなの。

 

話が大変ずれましたが、良い本に巡り会えました。

 

次に読みたい本

武士の家計簿磯田道史著(同名映画原作)

『無私の日本人』 磯田道史著(一節を原作に、映画『殿!利息でござる!』が制作された)

メギドにおける「戦争の誇り」について

本もちゃんと読んでるんです、本当なんです!

あと小説も書いてます!ノートに手書きだから公開するのに手間取ってるだけで…!!

ただうっかりそのノート(本の感想もそれにメモしてある)を職場に置いて来てしまったんです!!!休憩時間に推敲しようと思って!!!そしたら!うっかり職場の机に入れて持ち帰るのを忘れて盆休みに!!!!

という言い訳で始めようと思います。

最近小学生レベルの失敗をしでかすのでどうしたもんかと頭を悩ませています。

 

さて、そろそろ9章2節のネタバレ防止期間も明けたという事で9章2節や今回のイベント「トーア公御前試合」をプレイする中で感じた事をつらつらと書いていくつもりです。

まず、最近のメギド72で重点的に描写されているのが「メギドの戦争の中にある誇り」であると私は感じています。

色々あって「吹っ切れた」ソロモン王でも完全に思考メギドラルになったわけではない、メギド寄りの思考に切り替わったソロモン王でもまだ理解し得ないものがメギド社会における「戦争に関わる誇り」である。それを改めて描写し、メギドにとって戦争に関わる誇りは時に自身の存在よりも重く尊いものになるという事をソロモン王の体験を通してプレイヤーに訴えかけるストーリーが増えているように思いました。

そして、メギドにおける戦争とは軍団の枠だけで行われるのではなく、ごく個人的な闘争においても、そこに当該メギドの「個」に纏わる誇りがあるのならそれはメギドラルやメギド達において戦争と呼んでよいのだという事も感じます。

更にはその果てにある勝敗にも誇りが存在すると。

そのメギドにとって「個」を懸けたものであれば喩え負けたとしてもそこには確かに「誇り」があるのです。自身が消滅したとしても、その誇りは尊く重い。そして、勝者も敗者の誇りを、勝者自身の誇りを以って受け止める。

いやまあ理解できませんわ。私スマホの向こうのヴィータ………そういえばメギコンではこっちの人たちはフォトンだったようなので、それに倣います。フォトンなので理解できませんわ!しかしながらメギド運営はそこを重点的に描くことによってヴァイガルドとメギドラルは完全に別世界なんだけど、ゲートを通して隣接している世界なんだとフォトンの皆さんに感じ取って欲しいのではなかろうかと何となく思った訳です。

 

私自身が、「戦争戦争って何でも戦争にすんなよなメギドラルゥ……」って思っていたからか、9章2節と「トーア公御前試合」のストーリーには考えさせられるものがあったように思います。

 

……ハルマニアはどうなのかしらね、と思いつつ、これからも私はフォトンとして元気にメギド達にドリヴンしていこうと思います。

正直に言いますと、「私フォトンだから!」みたいな事が言いたいだけの後半になりました。

ああ!チャージフォトン取られた!!…って事はこういう予定が崩れてこうなってああなって……スキルフォトンよりチャージフォトンを先に取っておけばよかった!!うわあああしまった形勢が!!!!

ドリヴン下手のフォトンですが、明日からも元気にドリヴンし続けます。

 

暑い日が続きますが、皆様お身体ご自愛ください。

一介のフォトンより、愛を込めて。

 

(待てよ、フォトンて事はもしかしなくてもメギドラルやヴァイガルドやハルマニアに生きる者の思考とかそういうのを本能的に理解しているのではないか…? であれば私はフォトンですらない……私は…私とは何か……メロンパンが好きな人……あ、それだけは間違いないわ……)

 

メギド72「虚無のメギドと儚い望み」感想

イベント最終日なのでイベントストーリーの感想を書き連ねていこうかと思います。もしかしなくてもこれがゲームの感想についての初めての記事ですね。よし、ブログタイトル回収できたぜ。

 

まず、軍団としてのメギド72は「多様性」を認めた、むしろ求めている軍団であることを念頭に置かないとちょっとブリフォー(イベスト加入メギド)へのモンモンの態度がヌルいと思うかもしれない。

実際私はヌルいなあと思ったものです。

イベストラストバトルの対ブリフォー戦はブリフォーがちゃんと自分の行動理念を語っていれば避けられた対決でもあったけど、そこは「別に語っても仕方ないな」「自分だけ知っていればいい」という「空っぽ」を自称するブリフォー自身の「個」の表れを描かないとヌルいな、ブリフォー好きになれないな、と思ったかもしれない。

 

インプが生者も死者も冒涜した医者エンバーに怒り「消えてなくなれ」と願う。

リリーの願いは「強くなってインプとブリフォーと一緒に悪いヤツをやっつける」というもの。

そして、ブリフォー自身の願いは「インプとリリーの願いが叶うこと」

だからこそ自分はそれを阻もうとするソロモン王と戦う道を選んだという背景な訳です。

でもそれをこれっぽっちもソロモン王に語らないんですよね。イベストを体験しているプレイヤーにとってはブリフォーカッコいいなって思うポイントですが、モンモンの視点では自分が見たものとインプの語る話しか知らなくて、肝心のリリーの願いを叶えるというブリフォーの戦う動機を全く理解してない。だってブリフォーは何も言わないから。

それでもモンモンはブリフォーのする事は間違ってると思って戦うんですよ。ヴィータの罪はヴィータの手に委ねられるべきだと思ったのか、メギド72という軍団に加入意思を示したブリフォーに罪を犯させるわけにはいかないと思ったのか、そこら辺はモンモン各位の解釈にお任せしますが……モンモンは既にヴィータでありながらヴィータではなくなっているのが私の解釈なので、自分に与しようとしたメギドを信じる、信じたい、という完全にメギド側に肩入れした結果、戦ってでもブリフォーに罪を犯させるわけにはいかないと思ったのだと私は思います。

ヌルいし甘い……けどそこが好きだよモンモン……名前をメロンパン野郎にしてごめんね…メロンパンは私のアイデンティティ…メギド流に言うと私の「個」なんですよごめんね…ソロモン王メロンパン野郎……

 

ソロモン王の軍団としてのメギド72は「多様性」の軍団です。

「多様性」を大きな旨として掲げているのはヴァイガルドのヴィータ達が多様性の中で生きていて、メギドラルに殴り込みに行く時はそのヴァイガルド流の「多様性」が肝になるというわけです。

 

……にしてもあの、ヴァイガルドの多様性がエグいくらい多様性し過ぎてるしヴィータ(人間)の美しい所も醜い所も平等に描くのがメギド72の素晴らしい所なんですけど……

その、ネクロフィリアの描き方リアルすぎません?

あと、別イベでしたが、ヴェルドレさんの処遇とか、ゾッとするくらい人間らし過ぎません??

ファム・ファタールに狂わされた人々とファム・ファタール自身の末路ですよねあれ。

ストーリーライター陣は一体どんな風に世界を見ているのかしら。

……小説とか書いてくれたらめっちゃ買うんだけどな…でもゲームのイベントストーリー超絶楽しみなのでオーバーワークになりそうならメロンパン野郎は諦めます。

 

ヴィータは醜い……絶滅すべき…

モルカーを観た後のようです。

あれですよ、メギド72制作陣もモルカー制作陣も人間の醜さを描くのが巧すぎて、メギドやモルカー達の純粋さ(メギドは善悪関係なく個に対して純粋だと思う)が尊いものだと思ってしまうので、結果醜いヴィータ(もしくは人間)は絶滅すべき……と思ってしまうわけですよ。

 

2021/9/6 部分修正

『博物誌』は色々な人が書いていた……

『博物誌』といえばプリニウスとかその辺り有名ですよね。

プリニウスとかプリニウスとか、ああ、あとプリニウスとかも書いてましたね。

 

で、今回の感想は

 

『博物誌』

ジュール・ルナール

岸田国士

新潮文庫

ISBN:978-4-10-206701-7

NDC(10版):954

 

ジュール・ルナールの著作はこの他は『にんじん』が有名ですね。未読なんですが。

最近気付いたのですが、こういう有名どころを殆ど読んでなくて知らない話が沢山あるのです。

大人になってから時間を見つけてあれこれ読んでいます。

 

私がこのルナールの『博物誌』を読もうと思ったのは、2021年5月13日の読売新聞の編集手帳にこの本の一説が引用されていたからです。

そしてそれが、私がこの本の中で一番好きな一節になりました。

それが『蝶』です。

「二つ折りの恋文が花の番地を探している」

この短い文が非常にロマンチック!詩的で素敵、素晴らしい!

……けど、この『博物誌』って、文によって温度差があるんですよ。ダジャレでは?とか見たまんまですよね!?とか。

それがいいのです。生き物を美化しない、ありのまま、命を飾らない、ルナールの視線のまま描かれているような感じです。読んでいる私は身近にその生き物がいれば見に行ったりしました。

個人的には長い話より短い、ほんの数行の項目が面白いと思います。これは翻訳者のセンスの賜物なのかな。ルナールの言葉を日本人が共感しやすいように訳すって凄くセンスのいる仕事なんじゃなかろうか………

 

『驢馬』

「大人になった兎。」

 

……って、原文で初めて見た時どう思ったんだろう………

 

個人的には鳥が飼いたかったけど、絶望的に鳥を飼うのに向いてないルナールの話とか面白くて大好きなのでその辺りを読んでほしいです。

 

時間が空いた時に開いてみたり、好きなページを何度も読んでみたりするのにいい本です。私はルナールの鳥が飼いたかったけど向いてなかった話(これは私が適当に名付けた本の中のエリア名)の辺りは読み過ぎて勝手に開いてきます。

勝手に開くとまた読んでしまう……

どうも最近の私はまったり読み、繰り返し読みが楽しいようです。

taknalユーザーは素敵本を知っている。『石の辞典』

つむじ風食堂の夜』や『ものがたりの家』と同じく読書家のすれ違い通信アプリ「taknal」で初めて知った本です。

 

『石の辞典』

矢作ちはる 文

内田有美

雷鳥社

ISBN:978-4-8441-3754-2

NDC(10版):459

 

時折taknalを開いて、誰かとすれ違い通信してないかなーとチェックしている中でおすすめされていた本です。

私、小さい頃に真っ白な石に六角形の結晶が沢山ついてて、その結晶がキラキラしててとても綺麗な石を父から貰ったんですよ。父曰く「職場の庭に落ちてた」とかなんとか。それがものすごく嬉しくて、その石が私の宝物になったのがきっかけで石に興味を持つようになりました。

…その宝物の石は引っ越しのどさくさに紛れて失くしちゃったんですよね。なんて名前の石だったんだろう、分からずじまいになりそうです。

という事で、『石の辞典』というタイトルと表紙の絵だけで購入決定!と探していたのです。よく調べればよかったのですが、「辞典」という言葉にイメージが引っ張られてA5サイズくらいの大きさだと思っていました。

しかし、書店のサブカルチャーの本棚に入っていたのは文庫サイズでした。驚きました。

でも嬉しい、私は文庫サイズが一番好きです。手が小さいので一番持ちやすい。

 

石は名前順で掲載されているのではなく、モース硬度(指標となる物と擦り合わせて傷が付くかどうかで硬さを決めた数字。全部で10段階)の小さい順、つまり柔らかい石から順に並んでいます。

ちなみにモース硬度1は爪と擦り合わせて傷が付くレベルの柔らかい石です。

そんなのあるんか!? あるんです。

だって最初のページはモース硬度1の石から始まるのです。

 

本の構成は見開き1ページで1つの石を紹介しています。

右ページには写真と見紛う程精緻な絵と石の呼び名が、左ページにはその石の説明が書かれています。

私、最初は写真だと思っていたんですよね。何も考えず、ただその写真(絵だった)と説明を眺め、読むだけでした。何ページか進むうちに、あれ?となって改めて表紙を見たのです。

ちゃんと「絵 内田有美」って書かれてる!

それに気づくともうダメです。文と写真を味わうのではなく、文と絵を味わいたくて最初から読み直しました。何度見ても写真のように見える……でも絵なんですよ……絵なんですよこれ……

 

この本をきっかけにエカテリーナ宮殿の琥珀の間を画像検索したら腰が抜けるかと思いました。とんでもなく贅沢な部屋だとか、価格付けたら幾らするのよとか……あとは琥珀の上品な色合いにうっとりしました。綺麗な色だなあ。

 

一つの石をとっても物凄く多くの知識と感動を与えてくれるこの本、おすすめしてくれた人は本当にありがとうございます。素晴らしい本と出会えました。

 

taknalでおすすめしてもらった本で気になったものは今のところ全て私的に大当たり、ノットフォーミーが一冊もありません。

私が田舎町に住んでいるからあれこれ見られるのですが、都会に行くと物凄い勢いでログが流れていくんですよね。表示されなかったいくつものおすすめ本の中に、まだ見ぬ素敵な本があったかもしれないと思うと残念に思います。

すれ違わないのも寂しいけれど、逆にすれ違い過ぎるのも忙しないし寂しいなと思いました。

 

この本はおよそ一ヶ月かけてゆっくりじっくり楽しめました。今でもぱらりとページを捲って幾つかの石を眺めて閉じる楽しみ方をしています。

ポケットサイズの鉱物標本を持ち歩いている気分になれるのです。

本当に素晴らしい本に出会えました。