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免責事項は必ず読もうね。『わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる』

一週間くらいかけてのんびり読んだ本です。

……のんびり読まないと頭がパンクするからのんびりせざるを得なかった本とも言えます。

 

『わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる』

著/Dain(ダイン)

技術評論社

2020年5月刊行

¥2,420

ISBN:978-4-297-11153-3

NDC(10版):019.12

 

この本は同名ブログを運営しており、「スゴ本オフ」なる読書会を主催しているDain(ダイン)さんという方が書いたものです。

「自分のアンテナだけに頼る閉鎖的な読書から、本を介して人と繋がるスタイルへの変化と発見を、ブログに書き続けて10年以上になる」(同書著者紹介より引用)、自分のアンテナにしか頼ってこなかった閉鎖的…引きこもりレベルかも知らん私にはこの本が異界への入り口のように感じられました。

 

まず驚いたのは冒頭。冒頭っていうか、2ページ目。

1ページ目って本の扉で、その裏って事です。私の印象では大体白紙で、3ページ目から「はじめに」がある感じ。

その2ページ目に何があると思いますか?

なんと、「免責事項」なんです。

引用します。

「免責

本書に記載された内容は、情報の提供のみを目的としています。したがって、本書を用いた運用は、必ずお客様自身の責任と判断によっておこなってください。これらの情報の運用の結果について、技術評論社および著者はいかなる責任も負いません。

本書記載の情報は、刊行時のものを掲載していますので、ご利用時には変更されている場合もあります。

以上の注意事項をご承諾いただいたうえで、本書をご利用願います。これらの注意事項をお読みいただかずに、お問い合わせいただいても、技術評論社および著者は対処しかねます。あらかじめ、ご承知おきください。」

……えっ?

読書量が多くない自覚がある私にとっては初めての体験でした。読書法の本て全部そうなの?

私ちょっと見てきました。実は図書館司書の端くれ(末端も末端なんですけど)でして、慌てて自館の019.12を見に行きました。小さい図書館なので開架と閉架を見てもこの本を除くと17冊しかないんですよ。…で、2ページ目を見ても……まあ、免責事項なんてありませんよね!!

それはそうと読書法の蔵書数が18冊は少ない感じなので予算と相談してどうにかしたい。

 

そして、読了した今、この免責事項は2ページ目にあるべきだと思います。更に言えば何度でも読み返さないと、呑まれる。それくらい情報量が多いのです。

一気読みとかホントおすすめしないです。頭がパンクします。

目次を眺めて読みたい所を拾い読みするか索引読みをおすすめします。端から端までガーッと読むのも楽しかったですよ。でも一気読みはおすすめできない。

読んでみたい本が山ほど増えました。読むか分からんので図書館で見つけた時はパラ読みして選んでみます。

 

なんとなく感じた事ですけど、この本はDainさんの『コデックス・ヴィータイ』=人生の書、なんじゃないかって事です。Dainさんがこれまで本と共に歩んできた半生を描いているような、そんな気になってくるんですよ。人生のほとんど全部のシーンに本があったのかなと思うくらい。

コデックス・ヴィータイ、『ペナンブラ氏の24時間書店』(ロビン・スローン著、島村浩子訳/東京創元社)に出てくる本なんです。自分の人生を暗号で記して作る本。ちょっとそれに似てる。

 

それとですね、ちょっと前の部分に私は図書館司書だと書いたのですが、この本を読んで「常連さんて、もしかしなくても恐ろしいな!?」と思いました。だってDainさん、「レファレンス協同データベース(https://crd.ndl.go.jp/reference/)」をご存知なのだもの!!

レファレンスっていうのは、簡単に言うと「調べものをするための導入的なお手伝いサービス」なわけなんですが、これがまあ大変なのです。私はまだまだレファレンスの、特に利用者が本当はどういう情報を欲しているのかという事を聞き出す技術が足りないのでレファ協を参考にさせてもらっています。そして、このレファ協、司書の中の知名度は高いとは言い難い。レファレンス担当の司書や私のような勉強中の司書が利用するものという固定観念を抱いていた、あのレファ協は……あのレファ協は、もしかしたらあの利用者さんやあの利用者さんもしっかりご存知で…なんて思ったりしたら震えます。勿論私の無知にです。

 

スゴ本が「スゴ読者」を、「スゴ利用者」を育てるのかもしれない。

 

 

【本屋や図書館で見かけたらパラ読みしてみようかなリスト】

『私の本棚』(椎名誠ほか、新潮社編/新潮社)

『ぺナック先生のゆかいな読書法』(ダニエル・ぺナック著/藤原書店)

『小説のストラテジー』(佐藤亜希著/筑摩書房)

『小説の技巧』(デイヴィッド・ロッジ著/白水社)

『理科系の作文技術』(木下是雄著/中央公論新社)

『死を食べる』(宮崎学 作・写真/偕成社)

うさこちゃんのだいすきなおばあちゃん』(ディック・ブルーナ 作・絵/福音館書店)

『ぼくどこからきたの?』(ピーター・メイル著、谷川俊太郎訳/河出書房新社)

『子どもの話にどんな返事をしてますか』(ハイム・G・ギノット著/草思社)