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taknalユーザーは素敵本を知っている。『石の辞典』

つむじ風食堂の夜』や『ものがたりの家』と同じく読書家のすれ違い通信アプリ「taknal」で初めて知った本です。

 

『石の辞典』

矢作ちはる 文

内田有美

雷鳥社

ISBN:978-4-8441-3754-2

NDC(10版):459

 

時折taknalを開いて、誰かとすれ違い通信してないかなーとチェックしている中でおすすめされていた本です。

私、小さい頃に真っ白な石に六角形の結晶が沢山ついてて、その結晶がキラキラしててとても綺麗な石を父から貰ったんですよ。父曰く「職場の庭に落ちてた」とかなんとか。それがものすごく嬉しくて、その石が私の宝物になったのがきっかけで石に興味を持つようになりました。

…その宝物の石は引っ越しのどさくさに紛れて失くしちゃったんですよね。なんて名前の石だったんだろう、分からずじまいになりそうです。

という事で、『石の辞典』というタイトルと表紙の絵だけで購入決定!と探していたのです。よく調べればよかったのですが、「辞典」という言葉にイメージが引っ張られてA5サイズくらいの大きさだと思っていました。

しかし、書店のサブカルチャーの本棚に入っていたのは文庫サイズでした。驚きました。

でも嬉しい、私は文庫サイズが一番好きです。手が小さいので一番持ちやすい。

 

石は名前順で掲載されているのではなく、モース硬度(指標となる物と擦り合わせて傷が付くかどうかで硬さを決めた数字。全部で10段階)の小さい順、つまり柔らかい石から順に並んでいます。

ちなみにモース硬度1は爪と擦り合わせて傷が付くレベルの柔らかい石です。

そんなのあるんか!? あるんです。

だって最初のページはモース硬度1の石から始まるのです。

 

本の構成は見開き1ページで1つの石を紹介しています。

右ページには写真と見紛う程精緻な絵と石の呼び名が、左ページにはその石の説明が書かれています。

私、最初は写真だと思っていたんですよね。何も考えず、ただその写真(絵だった)と説明を眺め、読むだけでした。何ページか進むうちに、あれ?となって改めて表紙を見たのです。

ちゃんと「絵 内田有美」って書かれてる!

それに気づくともうダメです。文と写真を味わうのではなく、文と絵を味わいたくて最初から読み直しました。何度見ても写真のように見える……でも絵なんですよ……絵なんですよこれ……

 

この本をきっかけにエカテリーナ宮殿の琥珀の間を画像検索したら腰が抜けるかと思いました。とんでもなく贅沢な部屋だとか、価格付けたら幾らするのよとか……あとは琥珀の上品な色合いにうっとりしました。綺麗な色だなあ。

 

一つの石をとっても物凄く多くの知識と感動を与えてくれるこの本、おすすめしてくれた人は本当にありがとうございます。素晴らしい本と出会えました。

 

taknalでおすすめしてもらった本で気になったものは今のところ全て私的に大当たり、ノットフォーミーが一冊もありません。

私が田舎町に住んでいるからあれこれ見られるのですが、都会に行くと物凄い勢いでログが流れていくんですよね。表示されなかったいくつものおすすめ本の中に、まだ見ぬ素敵な本があったかもしれないと思うと残念に思います。

すれ違わないのも寂しいけれど、逆にすれ違い過ぎるのも忙しないし寂しいなと思いました。

 

この本はおよそ一ヶ月かけてゆっくりじっくり楽しめました。今でもぱらりとページを捲って幾つかの石を眺めて閉じる楽しみ方をしています。

ポケットサイズの鉱物標本を持ち歩いている気分になれるのです。

本当に素晴らしい本に出会えました。